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ネットオフィスにより、新しい働き方、新しいビジネス、そして、新しい生き方を提案します。
初夏の頃、「日経地域情報化大賞」の応募概要を見て、「地域情報化? 私には応募資格はないな…」と、断念した記憶がある。私はITを使って地方で仕事をしている。しかし、「その地域の活性化に取り組んでいるか」と聞かれると、答えにつまる。私が目指しているのは、地域を越えて働く「ネットオフィス」だからだ。しかし、11月14日、日経地域情報化大賞の授賞式と記念シンポジウムに出席し、その考え方が違っていることに気づいた。
■「地域」を越えつつ、「地域」のためにできること
「日経地域情報化大賞」は、「情報技術(IT)を利用して地域の活性化に自律的に取り組んでいる活動」を表彰する、というものだ。審査にあたっては、ITを利用して地域経済の活性化や発展に寄与しているか、地域コミュニティーや地域の文化・教育に寄与しているか、といった点が評価となる。
私が目指している「ネットオフィス」は、地域を越えて仕事ができる、新しいワークスタイルである(詳しくはhttp://www.ysstaff.co.jp/)。たとえば、北海道のチーフのもと、関東のプログラマー、東北のデザイナー、そして九州のライターが協力しあって1つのサイトを構築する。弊社では「ごく当たり前」のことだ。このため、「特定の地域を活性化しているか」という問いには、「NO」と答えるしかない。
しかし、「NO」と言い切ってしまうのは悲しい。私が、夫の転勤という偶発的な事情で、北海道北見市に来て6年。会社としては「全国」を向いているが、あえてこの「地域」に目を向け、何をしたかを考えてみた。
「北見のために!」という看板こそあげていないが、存在価値は少なからずあるのではないのか。自画自賛するつもりはない。「ネットオフィス」の拠点(ローカルオフィスと呼んでいる)が存在するだけで、その地域に対しても何らかの影響力が発生する可能性を知ってもらいたいのだ。
■リーダー人材は、「地域」に帰りたくても帰れない!?
今回、日経地域情報化大賞を受賞された方々は、自らが住み、仕事をしている「地域」で、ITを活用し、雇用を創出したり、コミュニティーを運営したり、教育環境を向上させたり、さまざまな活動をされていた。そして、彼らと直接話をすることで、その地道な努力と苦労、そして、志のすばらしさを肌で感じることができた。「私も何かしたい」そういう思いが生まれたのは、自然なことかもしれない。
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地域情報化が「ITを利用して地域の活性化に自律的に取り組んでいる活動」であるならば、「○○(特定地域)のために」といった直接的な活動でなくても、できることはあるはず。ちなみに弊社は、「北見オフィス」のようなローカルオフィスを、全国各地(都会ではない地域)に設置し、それぞれの地域を中心とする業務拡大を目指している。その一環として、この春、私の故郷である奈良県で、2つめのローカルオフィスを立ち上げる予定だ(奈良周辺の方で、興味のある方がいらっしゃったら、ぜひお声がけいただきたい)。
さらに広い視野で考えてみよう。日経地域情報化大賞のシンポジウムでテーマの1つとなった「地域リーダーの育成」。「どう育てていくか」も大切だが、地方に住んでいる私としては、その前に「リーダーとなり得る人材をどうやって発掘するか」という問題が立ちはだかる。知識・モチベーション・指導力など、リーダーとしての要素を兼ね備えた人材は、往々にして、地方にとどまらず、自分の可能性を試せる都会へと向かう。それ自体は良いことだ。都会で揉まれながら、その才能をさらに磨いてほしい。でも、本音は、その才能を持って「帰ってきてほしい」のだ。
しかし、現実は甘くない。たとえ「帰りたい」という人がいても、「帰れない」。「自然がある」とか「思い出がある」とか「子育てがしやすい」とか「物価が安い」とか、それだけでは、人は生きられない。その地域で、「やりがいのある仕事ができるか」「生活するだけのお金が稼げるか」が重要なのである。
■ITで「地域」を底上げしよう!
今回、地域情報化大賞の授賞式、およびシンポジウムに参加して、地域活動の素晴らしさ、その必要性を実感した。そして、私の目指している「ネットオフィス」は、直接的ではないにしろ、彼らの活動の基盤作りに貢献できるのではないか、という思いに至った。
一般的な「地域の情報化」は、それぞれの地域における、地元に根ざした活動が中心となる。しかし、あえて特定地域にこだわらず、全国の「地域」を対象とする「地域情報化」があってもいいかもしれない。前者を「地域密着型」とすれば、私が目指すそれは「全国底上げ型」とでも呼ぼうか。
ITを使った「ネットオフィス」を実現し、「地域」の職環境を「都会」のそれに限りなく近く引き上げることができれば、「地域密着型」の地域情報化活動のリーダーとなり得る人材を生み出せるかもしれない。特定地域に向けた活動でも、また、即効性のあるものでもない。しかし、この「全国底上げ型」の活動も、地域情報化の1つの形であると、私は主張したい。
「日経地域情報化大賞」のシンポジウムへ出席できたおかげで、「地域情報化」に関して自分の進む方向が見えてきたような気がする――と、得意の大風呂敷を広げながら、壇上でプレゼンテーションをする受賞者を見上げ、「来年は私も応募するぞ」と強く心に誓うのであった(笑)。