株式会社ワイズスタッフ
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伝えるチカラ

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去年は気持ちがかなり荒んだ1年だった。

結構有名だという年配の写真家と組んで仕事(ワイズスタッフのではないのです)をした1年。「先生」と呼ばれていたその御仁をここではKと呼ぼう。Kはたいてい不機嫌で、担当編集も ライターの私も、腫れものにさわるかのように Kを扱った。そして、というか、だから、というか、Kの意見は絶対だったし、「それは ちょっと……」と誰かが言うと、ときに柔和そうに聞く体(てい)でいながら、長くを喋り自分の意見に帰着させていく。

自分に絶対の自信を持てるということはある意味すばらしい。自分を通せる力があるのも偉大なことなんだろう。何度目かの現場で、取材の段取りを考えながら、珍しくKは私に意見を求めた。

「AをこうしてBはこうしたらどうでしょう」
「いや、それはアカンのとちゃうか」

あっさり却下された。長い沈黙の後に「そや!AをこうしてBはこうしよう。そうや、それがええわ」と、表情を切り替えるスイッチがあるのかと思えるほど 一瞬で満面の笑みになる。K一人ご満悦だが、先に私が提案した意見と全く同じだった。

せっかく同じ空間にしっかり同時に存在していて、顔を見合わせながら声を発しながら会話をしているというのに、コミュニケーションがとれていない。私に「伝えるチカラ」が 欠けていたのかもしれないが、Kは“自分を通す”以前に、人の話を聞いていないのだと私は気づく。人の話を理解しようとしていないのなら、これは会話なんかじゃない。

そうした理不尽さを何度か味わうたびに、ワイズスタッフの仕事の進め方を想った。人が何を言おうとしているか、文面から必死に読みとって仕事している私たちを、あなたたちを想った。それぞれが離れていながら、画面越しに相手を想い、しっかり自分を伝える努力を重ねている面々の健気さを想った。よっぽど合理的に、しかも人間的にコミュニケーションが成り立っている現実が、PC画面に ツリー表示されている様は、Kには理解できないだろう。でもこれがワイズスタッフが誇る仕事の現場だ。

「我慢が足りないのかなぁ」とも思ったけれど、1年を経て、Kからの仕事を断った。こちらからは多くは語らなかったが、Kは激昂し 私を罵倒さえした。抑えきれずに感情を沸騰させちゃったへなちょこな私は何日かは眠れなかったが、そんな日々にいたときは特に、夫にはたくさん話を聞いてもらった。「ワイズスタッフの人たちのコメントの温かさ」もそのときよく話題にのぼった。ワイズスタッフの仕事はいいなぁ。きちんとがんばれていたら、そしてその姿を仕事を通して見せることができていたら、必ず認めてくれる人が現れるから。

自分が力を込めた部分をしっかり見つけてくれる人――、そういう人と仕事ができると、実力以上のものが出せるように私は思う。だから私も同じプロジェクトで誰かが見せるステキには敏感になっていたい。それを見つけたときは、すかさず言葉にしてステキだと書きたい。信頼しあうからこそ出し合えるパワーを出し切って、テンションあげていい化学反応を起こして成果物のレベルもあげていきたい。信頼できる人と仕事ができる喜びを享受したい。

ワイズスタッフも人数が増えた。みんながどうかはわからないが、忙しさが勝ってか、“きちんと伝える”“きちんと聞く”ができていないシーンにもちらちらっとは出くわしたことがある。自分とて、人の投げかけにいつも熱心に答えられてきたかと問われればそうでなかったことも多々あるし、いま慌てているのよといわんばかりに邪険な色を見せるコメントをわざわざ残したこともある。自戒を込め、“きちんと伝える”をベースの心得としよう。

今回、「先輩からのアドバイスとしてなんか書いてちょうだい」と言われて、そんな大役はとおじけつつ、いきなり人の悪口を書き始めた私って……。こんなことはするもんじゃないなと不快に思われた諸氏にとっては、してはいけないことの一つとして、これもアドバイスと軽く受け流してもらいたい。プロジェクト内のやりとりで、要旨を、依頼を、感想を、質問を“伝える”シーンは日々山ほど。なにも飾った言葉は探してこなくていい、ただしっかり伝えたい気持ちで以て書くことは、日々ライティングの鍛錬にもなっているだろう。「伝える」を怠らないことで人の時間も無駄にしないと信じているけれど、しばしば余談に走っては人様の貴重な時間をいただいてる私でした。

Y's STAFF メンバーI(京都府在住)

【作成日 2007/07/25】

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