株式会社ワイズスタッフ
ネットオフィスにより、新しい働き方、新しいビジネス、そして、新しい生き方を提案します。

ENGLISHサイトマップ

netoffice

【ネット時評】根付き始めたIT講習会(2001/06/08)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Check

 森内閣のIT戦略の一環で、今年度、「IT講習会」が全国で実施されている。20歳以上であれば、だれでもインターネットとメールの講習(全12時間)を無料で受講できるというものだ。私は、地元の北海道北見市用のIT講習会教材を作成するあたりから、関わらせていただいている。気が付くと、民間会社として市のIT講習会の一部を請負い、時間の許す限り私自身も講師を担当している。現場から見たIT講習会の様子、そして、問題点や今後についてレポートしたい。

■平均年齢は65歳

 最初のIT講習会用名簿を見て驚いた。平均年齢が65歳なのである。最高齢は75歳のおばあちゃん。「富山にいる孫とメールがしたくて…」。その笑顔に、「がんばりましょうね」と思わず手を握る。70歳の父親の手を引いて参加する40歳の娘さん。開始1時間前から会場に来て、復習をしているおばあちゃん。子どもを実家に預けながら参加するママさん。ホームページ検索の時間、競馬のページばかり探しているおじさん。「難しいよなぁ、でも、おもしろいよ、これ。」と大声で笑う、76歳のおじいちゃん。

 もちろん講習の時間帯や曜日設定によって、参加者の層は異なる。しかし、パソコンやインターネットを使ってみたかったけど、触れる機会、習う機会、買う機会がなかった人たちが、この講習会のおかけで、一歩前に進めたことは間違いない。

 また、今回の北見市IT講習会用には、紙の教材だけでなく、「インターネット体験サイト(http://www.it-taiken.com/)」も用意した。こちらは、ネット上なので全国のIT講習会から自由に利用できる(もちろん無料)。チャットのコーナーでは、北海道のIT講習会参加者が、たまたま一緒になった千葉の参加者と天気の違いで話がはずむ。ショッピング体験コーナーでは、カートの中に商品を入れまくる。いくら買ってもお金はいらないが、商品も届かない、本物のバーチャルショップだ。

■受け取って欲しい小泉内閣へのバトン

 しかし、はじめての試みだけに問題点も多い。北見市は比較的順調に進んでいるようだが、実質運営は自治体任せ。地域によって、運営方法やレベル格差は大きい。今年度中に全国で500万人に受講させるという膨大な計画。一時的にすごい数の講師が必要になるため、教える側のレベル統一が難しい。それにもかかわらず、教材も自由、運営も自由では、果たして、公平な実施と言えるのか。小中学校で開催される講習では、PC性能やネットワーク環境の問題で、満足にインターネットに接続できないケースもあるらしい。夏の暑い日、クーラーの無い教室で、キーボードを打つ練習ばかりしていては「インターネットの楽しさ」など伝わらないだろう。

 また、もう1つ大きな問題は、「今後」である。講習最後の6日めが終わり、がんばっていたおばあちゃんがボソっとつぶやいた。「楽しかったけど、またすぐ忘れちゃうんだろうね…」。さみしそうだった。せっかく「入口」に立って、すばらしい世界を見ることができたのに、そこからの道が見えない。自分で民間の講座を探して参加するというのもなかなかできないだろう。

 せっかく実施にこぎつけたIT講習会。世間では、予算をとったときに騒がれただけだが、確実に国民に浸透している。大切なことは、問題点を認識しつつ、次につなげることである。森内閣から渡されたIT普及というバトンを、小泉内閣にしっかり受け取って欲しい。

【 その他 】 の詳細