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【ネット時評】ネット普及の地域格差は誰のせい? ~地方におけるSOHOの現場から(2001/08/27)

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 「ブロードバンド 全道展開 一社もなし」。18日の北海道新聞の一面見出しである。ブロードバンド事業者12社へのアンケートの結果、北海道内の全市町村を対象とした展開予定は、NTT東日本も含めて皆無だという。一方、先月、内閣府の調査で「家庭でのネット普及率4割」という発表があった。地域別では、首都圏で45%に対し、福岡市などでは35%前後。この結果をもって、地域間で格差が生じているという。しかし、私に言わせれば、調査対象となった福岡市、沼津市、高松市は都市の1つ。政府は本当に日本の「地域全体」に目を向けてくれているのだろうか。

■地方ほどかかるネット通信費

 「北見はネット環境が良くていいね」。北海道・屈斜路湖のほとりに移り住んできた知人夫婦がうらやましそうに言う。彼らは、大自然の中で暮らしたいという夢を実現すべく、東京の会社を辞めて北海道にやってきた。まぶしいほどの緑、満々と水をたたえる湖、庭先にやってくるエゾシカたち…自然を愛する夫婦にとって、理想の生活場所だ。しかし、そこに仕事は無い。観光客向けの店をオープンするが、シーズンは夏のみ。1年の半分以上を占める冬の仕事をどうするかが大きな課題となる。

 その答えの1つが、ネットで仕事をするSOHOというワークスタイルであることは、容易に想像がつく。実際、夫婦は、東京でIT関連の仕事をしていた。技術もツテもある。しかし、大きな壁が存在する。「通信環境」だ。ISDNすら引けない地域では、ダイヤルアップ接続の通信費だけで収益が半減してしまうのである。

 うらやましがられた、北見(人口11万人)ですら、現在、安価な常時接続環境は「フレッツ・ISDN」だけ。市内にアクセスポイントがあるプロバイダ数も片手があれば足りる。屈斜路湖畔でなくとも、少し郊外の町に行くともう「常時接続」環境は無い。

 物価とは逆に、地方ほど高い費用と遅いスピード。これではネット普及率の「地域格差」が生じるのは当然のこと。インターネットを利用すれば「距離」は関係ない。でも、利用するまでの「距離」は存在するのだ。これはいったい誰のせいなのか。

■日本を広げる、ネットの普及

 政府が示す「e-Japan計画」で、日本は世界最高水準の高度情報通信ネットワークを目指している。しかし「高速インターネットの地理的格差の是正」の項目で上がっているのは、「民間によるネットワーク整備とその支援」と「地方公共団体等の公共ネットワーク、公衆用インターネット端末等の整備」と漠然としたものである。

 そして、政府や地方自治体は、「SOHO支援」の名のもと、都会から少し離れた駅前にインキュベーション施設を作り、短期の資金援助を行っている。しかし、本当にその方法でネット時代の新しいワークスタイルやライフスタイルを生み出すことができるのだろうか。最もネット恩恵を受けるはずの地方が、最も取り残されていていいのだろうか。ブロードバンド百花繚乱の時代に、フレッツISDNすらなく、通信費のためにSOHOで仕事ができない地域がある現実を見落としてはいないのか。

 都会を離れ、ネットを使って「自然の中で暮らしたい」という夢をいだく人は少なくない。安価なインターネット常時接続環境が日本の隅々まで普及する環境を実現することは、狭い日本を広くするだけでない。狭かった日本人の「生き方」をも広げてくれるはずだ。

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