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【ネット時評】初心者に広がるウィルスと風評被害(2001/12/14)

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 「お母さん、ヘンなメールが来たよ」小学4年生の長女がパソコンの画面を見て叫んだ。見てみると、「Re:」というタイトルに、本文無し。巷で蔓延しているウィルスメール「バッドトランス」である。「もうメールしちゃいけないの?」娘が泣きそうになっている。クラスの友だちが、「ウィルスに感染する」という理由でお母さんにメールを禁止されたというのだ。しかし、娘たちが使っているメールソフトは、「ポストペット」。最近の「ウィルス」に感染する可能性はかなり低い。

 ウィルス被害は、正しい知識と予防策があれば防ぐことができる。企業やIT習熟者の間では常識だ。しかし、その一方で、正しい情報を得られず、初心者の間で感染が広がると同時に、「風評被害」も発生しているようだ。

■届いたメールを見るだけで感染するウィルス

 11月下旬頃から「アリズ」「バッドトランス」などのウィルス被害が広がっている。今回のウィルスは、9月に大きな被害を出した「ニムダ」と同じく、インターネットエクスプローラ(以下IE)の「セキュリティホール」をついたものである。バージョン5.01もしくは5.5に付属している「アウトルックエクスプレス」を使っていると、メールを「見た」だけで感染し、知人などにウィルスをばらまいてしまう。しかし、SP2という修正プログラムでアップデートするか、バージョンを6にすれば、とりあえず「穴」を埋めることができる。そして、未知のウィルスに備えるためにも、ウィルス対策ソフトをインストールしておくと安心だ。

 しかし、今回のウィルスの問題点は、これらの説明を理解できない「初心者」を中心に広がっていることにある。昨年から今年の夏までに発売された、ほとんどのパソコン(IEがプレインストールされている)が、「穴あき状態」(セキュリティホールあり)だというのだ。つまりは、1年以内にパソコンを買った多くの初心者が、特に何もせずに使っていると、届いたメールを見ただけで感染してしまう。そんな危険な状態で、「バージョンアップって何?」「メールソフトの名前なんて知らない」という、インターネットやパソコンを始めたばかりの初心者が、果たして対応できるだろうか。

■初心者は、どう対処すればいいかわからない

 メールマガジンやホームページで「対処策」が紹介されるが、ウィルス対策ソフトメーカーのHPにあるウィルス解説ページを案内しているケースがほとんど。案内されたページには、難しそうな専門用語が並び、初心者は「?状態」となる。そして、安全と言われる、IEの最新バージョンのIE6にアップデートしようとすると、ダウンロードすべきファイルのサイズは、32MB。ブロードバンドユーザーならともかく、ダイヤルアップでインターネット接続をしている人にとっては、考えられないサイズだ。それならばと、パソコン雑誌の付録CD-ROMを探すと、IE6が収録されている雑誌が発売されていない。ひどいことに、セキュリティホールのあるIE5.5が入っているものがまだ発売されていたりする。一方、マイクロソフトが開設した、「Microsoft Security サイト(http://www.microsoft.com/japan/security/)」では、無料で対策CD-ROMを郵送してくれるが、届くのに何日かかるかわからない。

 さらに、「ウィルス被害広がる」「サイバーテロか?」といったマスコミ報道が追い討ちをかける。結果として、「怖いのでメールをやめる」という選択をする人が出てきても、決して不思議ではない。いや、まだ、「怖い」とわかっているだけでもいいかもしれない。自分が危険にさらされているかどうかもわからず、さらには、感染して自分が被害を広げていることすら知らずにいる初心者も少なくない。

 ある女性は、知人から「あなたからウィルスが届いたわよ」と指摘され、はじめて自分がウィルスに感染していることを知った。そのあと、自分が「加害者」になったことで、自分を責めてしまい、メールをすること自体をやめてしまった。

■初心者でも安心して利用できる環境を

 この現状を「勉強不足なのが悪い」と突き放すことはできるだろうか。少なくとも、より広くITを普及させたい、と考えている側にとって、決して望ましい状況ではないはずだ。

 少しでも歯止めをかけることができればという思いで、「初心者向けの対応マニュアル」を作ってみた。もし、まわりに困っている人がいれば、ご紹介いただきたい。しかし、丁寧に説明しようと、A4で8ページにもなってしまった。これでは、決して「使いやすい」とは言えない。

 今、本当に必要なのは、初心者でもインターネットを安心して利用できる環境づくりなのだ。でも、今のIT社会は、そんな足元を見ず、通信速度競争や新技術を使ったサービスばかりに目がいってしまってはいないだろうか。

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