株式会社ワイズスタッフ
ネットオフィスにより、新しい働き方、新しいビジネス、そして、新しい生き方を提案します。

ENGLISHサイトマップ

netoffice

【ネット時評】変化の速いインターネット上でのスローな会社経営(2003/05/09)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Check

 最近、取材や講演の依頼が少なくなった。女社長がもてはやされるのは30代までか。なんて冗談はさておき、この事実をどう受け取るべきだろう。私が5年前に提唱し、実践し続けてきた「ネット上で会社を経営する」というスタイルの会社が増え、珍しくなくなったのなら願ったりだ。でも、実際のところ、そんな話もあまり聞かない。ということは、単純に考えて「飽きられた」ということになる。しかし、それでいいのだろうか。「ITの普及」というのは、利用者の数の増加やスピードだけが成果ではないはず。人々の生活や働き方が、新しく生まれ変わり、今までに無い効果をあげてこそ意味がある。そのためには、5年や10年の月日がかかるスローなビジネスであってもいいのではないか。

■「ネットオフィス」5年のスローな歩み

 98年10月に起業した弊社(https://www.ysstaff.co.jp/)は、この3月末に5期目を終えた。3期目から売り上げが1億円を超え、5期目も無事達成できそうだ。話題のITベンチャー企業から見れば「たかが1億」。しかし、北海道のオホーツク地方に拠点を構え、ネットで仕事をする弊社としては「されど1億」。倍々ゲームではなく、スローな売り上げ増を続けている。

 弊社においてメーンで業務をする人を「ネットメンバー」という。その名の通り、ネット上で仕事をしている。しかし、いわゆる下請けのSOHOワーカーではない。限りなく「実在する会社」に近い体制をとることで、「ネット上のオフィスに通う社員」のごとく業務に従事しているのだ。それぞれの持つ能力・スキルを出し合い、協力し合い、責任を持って大きな仕事に取り組む。そのおかげで、弊社は、柔軟かつ完成度の高い業務を低コストで受注でき、ビジネスとして成り立たせることができている。

 創業時15名だったネットメンバーは、今は80余名。ネットで募集しているのに、5年でたったそれだけ? そう、こちらもスロー。しかし、書類選考・トライアル(試験)・面接と、手間と時間とお金をかけて、コツコツと集めた弊社の財産である。一方、目に見える成果として、5年間で蓄積した自分たちのニーズを結集し、ネット上で複数のスタッフが、複数の業務を行うためのソフトウエア『Pro.メール』(http://www.promail.jp/)の開発・発売に至った。このソフトにより、混乱することなくネット上で業務を遂行することができるのだ。現在、弊社では、このソフトを使って、80名のネットメンバーによって、50以上のプロジェクトが並行して動いている。

■人が増えるとトラブルも――「ネットオフィス」5年目の悩み

 私は、会社を経営していくために最低限必要なのは、「(仕事をする)場所」と「(有能な)人」と「(使える)道具」だと考えている。そして、今「インターネット」というこれまでには無かった新しい「場所」において、ようやく「人」と「道具」を揃えることができたと思う。

 しかし、「人」が増えてくると、新たな問題やトラブルが見え隠れするようになるのも事実。「子どもがいるから」「新人だから」という理由で、仕事に対する姿勢が甘くなるスタッフ。1人で仕事をこなした実績が邪魔をして、共同作業になじめないスタッフ。ときには、弁護士に相談が必要な法律上のトラブルも発生したりする。「人」と「道具」を揃えることばかりに注力し、「しくみ」作りがおろそかになっていたのだ。

 こんな社内のトラブル話をするのは、自分の経営力の未熟さを露呈するようなもの。正直言って恥ずかしいことだ。しかし、あえて、IT関連業務に携わる方々に提言したい。新しいことを始めるには、段階と時間が必要であり、一朝一夕でできるものではない。「IT」の進歩、普及、スピードだけに目を奪われていては、本当に考えなくてはいけないもの、じっくり取り組み、構築していかなくてはいけないものが置き去りにされることがあるのではないのか。

■インターネットを超える想像力

 GW中、たまたま目にしたテレビ番組で、オリエンタルランドの加賀見社長がインタビューに答えていた。テーマパーク業界を独走する東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド。その創業は43年前。鉄道会社から出向した加賀見氏を含むたった3名のスタートだったという。成功の秘訣には、目先の収益を追うのではなく、顧客の満足度にこだわった経営戦略があった。

 実は、約1年前。徐々に増えるスタッフの管理に不安を覚え始めた私が、興味を持ったのが、まさに東京ディズニーリゾートの社内教育だった。園内で働くキャストはアルバイトとは思えないほど、ディズニーワールドを演出し、お客様を大切にしている。「場所」はまったく異なるが、「働く人のマインド作り」こそ、今のネットオフィスに必要なのでは? そんなことを考えていた頃、偶然オリエンタルランドの勤務経験者からの参加希望があった。これは運命に違いないと、「人事部」の他に「教育システム部」を作り、「社内メルマガ」の発行など「マインド作り」に力を入れ始めた。

 加賀見氏の番組を見ながら、自分の方針が間違っていなかったこと、そして、この1年の効果もスローながらこれから出てくるということを確信した。

 この春、講談社から加賀見氏の著書「海を超える想像力」が出版された。その冒頭には、浦安の漁民と酒を交わしながら補償交渉を続け、その海の上に、子どもたちの夢の世界を創りあげた故・高橋政知相談役の言葉がある。

 

 「ここに新たななにかを創るときは、

     海を超えるような想像力をもって臨め」

 

 私は「海」を「インターネット」に置き換え、あせらず、ゆっくり、着実に進もうと決意を新たにした。

 ということで、取材・講演のご依頼もスローにお待ちしております。(笑)

【 その他 】 の詳細