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【ネット時評】コレで変わるか?! SOHO&テレワーク――厚生労働省、在宅勤務の労務管理ガイドラインを策定(2004/04/22)

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 「前例がないので何とも……」。数年前、社会保険事務所に、SOHOスタッフの遠隔雇用について相談に行ったときの答えだ。労働基準関係法令は、会社に勤務している人を対象にするため、ネットを使って在宅で仕事をする人に適用できるかどうか、判断できなかったのだ。しかし、この春政府は動いた。3月5日、厚生労働省が在宅勤務の労務管理ガイドラインを策定し、公開したのだ。これにより、日本のSOHO&テレワークは変わっていくのだろうか。

■ガイドラインの概要と意義

 ITの普及で、SOHO、テレワークといった言葉が定着して久しいが、現実は相変わらず厳しい。一時期は新しいワークスタイルと騒がれた「SOHO」も、今は、安い・早い・無理を言える「都合の良い発注先」となっている感がある。また、雇用関係のまま在宅で勤務する「テレワーク」も、一部大手企業が実施するにとどまっている。採用企業でも、在宅勤務者の管理コストがかかり、本来の目的である「人材の有効活用」「経費節減」が実現できているかは疑問だ。正直なところ、「企業イメージの向上」を目的に、体力のある大手企業だけが実現している、というのが私の印象だ。

 そんな現状の中、厚生労働省から「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/03/h0305-1.html)が公開された。このガイドラインでは、在宅勤務の現状と課題を提示した上で、「労働基準関係法令の適用」を認め、在宅勤務導入にあたっての注意点を明記している。しかし、ここで策定されている内容は、それほど目新しいことではない。手前味噌になってはしまうが、弊社では、自主的に「労働基準関係法令の適用」による遠隔社員のテスト雇用も実施済みだ。

 また、「導入の注意点」として列挙されている業務評価・賃金制度・教育制度の検討・実施も、雇用関係のない(業務委託契約)スタッフに対しても行ってきた。本音としては、「ようやく」スタート地点に立てたという感じである。しかし、少なくとも、これからは冒頭のような歯がゆい対応がなくなるのかと思うと、うれしい。

■ネット上での有能な人材を確保し、育成する

 「(限りなく実在する会社に近い)ネット上の会社」を実現するため、「ネットオフィス」というコンセプトを掲げ、起業して5年半。ネットオフィスで働くネットメンバーは、全国・海外合わせて100人近くになった。メンバーは、自宅に居ながら「プロジェクト」に参加し、協力しあいながら規模の大きな仕事をこなしいく。イメージされがちな「主婦の小遣い稼ぎ」ではない。仕事の内容も報酬も意識も、通常の会社員と同等の新しい働き方だ。

 そんな「ネットオフィス」を経営する中、大きな課題の一つが「遠隔雇用」だった。通常の会社でもアウトソーシングの方向に向かう時代に、「なぜわざわざ?」という人もいた。しかし、365日24時間体制と言ってもいいほど、100%弊社の仕事に従事してくれる有能なメンバーたちがいる。しかし、彼(女)らでさえも、会社との関係は「受託契約」であり、社会的な立場は「個人事業主」。実際にはほとんど継続して仕事が発生しているのだが、保証はされていない。必ず来月も同じ収入があるとは限らない。また、健康保険も自分で加入し、保険料を払わなくてはいけない。もちろん、雇用保険もない。

 経費の面だけを考えると、会社としては「受託契約」がベストなのだが、有能な人材を確保し、またそのメンバーに安心して働いてもらえる環境を用意することは、長い目でみて会社の利益である。また、そのことが、「ネット上で働く人材育成」に貢献するのだと、私は確信している。

 今回のガイドラインの中では、従来営業職が中心だった「みなし労働時間制」を適用できることが明記されている。これで、「在宅者の時間をどうやって管理するか」という最も大きな課題もクリアすることができた。弊社としては、今回のガイドラインを踏まえ、有能なSOHOメンバーの遠隔雇用を早期に実現したいと考えている。

■次のステップは、バーチャルグループワークマネジメント

 以上のように、ガイドラインの存在意義については評価できるが、「在宅勤務」の促進のためには、大切なポイントが抜けている。それは、「共同作業」あるいは「グループワーク」と呼ばれる視点である。厚生労働省という立場からであれば、「雇用者」と「労働者」の関係が中心となるのは当然のことかもしれない。しかし、在宅勤務者を労働力として活用する側にとっては、「いかに、効率よく、確実に、グループで仕事ができるか」が非常に重要なポイントなのである。

 従来の就労形態では「同じ空間に存在する」「声をかけることができる」「顔を見ながら話ができる」という、当たり前のことが、この新しい「就労形態」では、非常に困難なのである。この「壁」を乗り越える環境・しくみを構築しないと、「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施」は実現できないと、私は考えている。

 現在のSOHO・在宅ワーク者に発注される仕事の多くは、「デザイン」「翻訳」「ライティング」などのプロフェッショナルな仕事、そして「データ入力」「テープ起こし」などのシンプルな仕事が中心となっている。これは、在宅で作業することを前提に、「切り分けて発注しやすい」からである。大企業が導入している「在宅勤務」制度でさえも、「家でできる仕事」を中心に、在宅日に割り当てて運用しているケースが多い。

 しかし、このままだと、「在宅の仕事」=「サブの仕事」という公式が定着してしまう。そして、週に何日かは出勤が必要な仕事が中心となり、地方在住者は「在宅勤務」しにくくなる。また、地方の企業も、広く世界に人材を求めることができなくなる。結果として、インターネットを利用するにもかかわらず、「都市集中」の問題は解決できないのだ。

 「在宅勤務」という、独立した新しいワークスタイルを確立するためには、インターネットというバーチャルな世界で、メンバーを育成し、大きな仕事をこなせるグループワークを管理する手法が不可欠となる。今回のガイドラインの策定により、在宅勤務の「労働条件」の指標ができたとすれば、次のステップは、「経営手法」の確立である。私は自分の経験から、あえて、この「バーチャルグループワークマネジメント」という経営手法(将来、学問にもなりえるかもしれない)の必要性を主張したい。

 ぜひ次の機会には、私が考える「バーチャルグループワークマネジメント」について、詳しくお話ができればと思っている。

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