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【ネット時評】女性の「1000の声」総理に届けたい――公平な選択肢で働きやすい社会を(2008/07/14)

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 国は「女性が働きやすい環境を作りたい」と本気で考えている。しかし、現場の声を聞くことができず、適切な施策を実施できていないのではないだろうか。一方、女性は、大変な状況を前にしても「あきらめる」、あるいは「苦労して乗り越えて」しまって、「声」に出せないでいるのではないか。これは、双方にとって「もったいない」こと。両者をつなぐことができれば、社会は変わるかもしれない。そうだ、女性の生の声を集め、国を動かす人たちに届けて、行動してもらおう!

 これが、私が「女性が働きやすい社会をつくるアンケート」を実施するに至った理由である。地方にある、小さな会社の経営者でしかない私。「そんなお金にならないことをして大丈夫?」「社会を動かすなんて大それたことを……」と言われても仕方がない。できるかできないかは、やってみなくちゃわからないじゃないか。

 

■「声を聞けない」国と、「声を出さない」生活者

 ここ数年、私は「テレワーク」という新しい働き方を推進する活動をしており、その関係で霞が関や永田町界隈を訪問する機会が増えた。そこで、気づいたことがある。

 国は、有識者による会議や委員会を開いて、さまざまな政策を検討している。しかし、そこに参加する「有識者」は、大学の先生だったり、大きな団体の長だったり、大企業のトップだったりする。そして、ほとんどが首都圏在住者だ。地方も含めた、全国の生活者の声は、なかなか届かないのではないか。

 しかし、国も努力している。地方に住んでいると、情報源はテレビと新聞とインターネット。政治家や国家公務員の不正などが大きく報道される中、どうしても不信感が募りがちなのだが、実際に会って話をしてみると、優秀で志の高い方がたくさんいる。そして、良い社会を作ろうと、身を粉にして政策を検討・実施している。しかし、その政策が十分でないのは、情報源が、前述の国が開催する会議や委員会が中心だからではないだろうか。

 一方で、我々生活者はどうか。政治を他人事のように見て、「国に対して声を出す」という行為自体をあきらめてはいないだろうか。

 もしそうであれば、すべきことは明白だ。両者をつなげばいい。今は、インターネットの時代。忙しい毎日を送る、全国の女性たちの本音をインターネットで集め、「国を動かす人たち」に直接届ければ、何かが変わるかもしれない。

 

■埋もれてしまっている「女性の声」をネットで集めよう!

 今回実施した「女性が働きやすい社会をつくるアンケート」の特徴は、3つ。「謝礼はなし」「記名は任意」「自由回答が多い」である。最近、よく見かけるインターネットアンケートの常識とはまったく逆である。

 働く女性に関する調査・アンケートは、たくさんある。しかし、女性のための団体や、施策を検討する行政の委員会、あるいは新聞やネットのメディアなどが、民間の調査会社に委託して実施しているものが多い。その結果は、「△△の人が○○%を占める」という数字が中心だ。できるだけ多く回答してもらえるよう、できるだけ数字を明確に出せるよう、「選択肢」を数多く設定している。さらに、回答者の目的は、アンケートに答えてもらえるポイントや謝礼。これだと、数値結果は出ても、本音は出にくい。

 私が国に届けたいのは、数字ではない。生の「声」だ。数字は回答者属性の偏りで変わってくるので、あくまでも参考。それよりも、回答した女性たちの経験や思いから出てくる「声」に意味がある。国を動かす人も「人」。数字だけでは、人の心は動かない。

 こんな思いで実施した、常識破りのアンケート。背景と思いを添えて、メーリングリストや知人を通して、さまざまな女性に届けた結果、わずか11日間で555人からの熱いメッセージが寄せられた。自由回答の多い、手間のかかるアンケートだが、これだけ多くの女性が「声」を出してくれたことに、心から感謝する。

 「必ず、私たちの声を届けてください」「ネットアンケートはしない主義だけど、今回は答えます」「質問に答える間に、自分の今後の生き方が見えてきた気がする」など、うれしいメッセージが多数添えられている。『女性たちは、大変な状況を前にしてあきらめる、あるいは、苦労しながらも何とか乗り越えて、「声」に出さないままでいるのでは?』という私の仮説は間違っていなかった。

 

女性があきらめている現実

図1 「女性だから」「結婚している」「子どもがいる」などの理由で、差別的な扱いを受けた人たちの、約65%があきらめている現実(「女性が働きやすい社会をつくるアンケート」より)

 

■女性が働きやすい社会へのキーワードは「公平な選択肢」

 アンケートで集まった555人の声をいったん集計し、報告書(PDF)を作成した。最終的には、もっとたくさんの声を集め、すべてを届けるつもりだが、説得材料がないと「届ける道」を作ることができないからだ。

 膨大な数値とメッセージをもとに報告書を作成する中、「働く女性のため」の制度はあっても、実際には利用しにくい、あるいは、利用できない現実が見えてきた。制度の恩恵を受けているのは、都市部の大企業の正社員が中心。派遣社員や中小企業、地方企業で勤める女性たちは、まだまだ厳しい状態にある。読み進めていくうちに、この原因は、「働く女性のため」という方針から生まれた、働く女性の周囲が感じる「不公平感」ではないかと感じるに至った。

 すべての女性が「子どもを産み育てながらバリバリ働きたい」わけではなく、また、すべての男性が「仕事だけの人生を歩みたい」わけでもない。そんな状況の中、一部の人にだけメリットのある手厚い施策を実施すると、周囲に「ねたみ」や「不満」「ひずみ」が生じてしまう。それは「男性」に限らず、「女性同士」の間でも、だ。その結果、「制度があっても利用しにくい」という状況を作りだしてしまっているのではないだろうか。

 社会は、企業は、人は、互いにかかわりあいながら、影響しあいながら、変化している。にもかかわらず、それらを意識せずに、「少子化対策」「ワークライフバランス向上」「地域活性化」「労働力不足対策」「テレワーク普及」などなど、縦割り行政の中、さまざまな省庁や部署で、似たような参加者で、似たような委員会が開催され、似たような施策提案がなされている事実がある。

 そんな中、私の頭の中に浮かんだ言葉は「公平な選択肢」。子育てしながら働くのは大変だから「託児施設を増やそう」「育児休暇を長くしよう」だけではなく(もちろんそれらも重要だが)、多様性(ダイバーシティ)を考慮したさまざまな選択肢を用意し、そのための施策を、共に仕事をする男性にも、女性を雇用する企業にも、公平に、バランス良く実施することが重要なのではないだろうか。そのためには、内閣府直属で「労働環境庁」みたいなものがあってもいいかも……と思いをめぐらせてみる。

働く環境はすべて影響しあっている
                  図2 働く環境はすべて影響しあっている 

 

■「1000人の声」を、総理大臣に届けたい!

 現在(2008.7)、報告書作成時点からさらに回答が増え、「800人の声」が集まっている。私としては、「1000人の声」にして、「国を動かす人」にしっかりと届けたいと考えている。問題は「誰に、どうやって届けるのか」だが、私の最終目標は、実は「総理大臣」だ。女性議員や関連大臣に届ける、という選択もあるが、前述の通り、縦割り行政を超えないと意味がないと考えている。実現の可能性は決して高くはない。しかし、最終的に実現できなかったとしても、そこを目指すことが、集まった「声」に対する責任だと思っている。

 また、届ける内容は、「こんなに声があります」だから「働く女性の環境を良くしてください」ではなく、「こういう形で、こういう施策を実施してください。そうすれば、こういう効果があるはずです」と具体的に提案したい。

 さて、この無謀な活動が、どんな形で着地点を見出すのか。私自身、今の時点ではまったくわからない。しかし、確実に言えることは、この活動をより多くの人に知ってもらい、また、より多くの声を集めることで、前に進むことができる、ということだ。アンケートはまだ実施中なので、ぜひご協力をお願いしたい。

働きやすい社会をつくるアンケート報告書」(PDFファイル 432KB ※555人時点での内容を報告書にまとめたもの)

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